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廃業決意から一転、譲渡成功。わずか1か月の出来事。


2014年末、弊社のプレゼン資料をご覧になった東海地方の事業者から連絡が入りました。
その事業者はリハビリ型のデイサービスを4店舗運営しており、予約率は90%を超えるという、かなり高パフォーマンスの事業者でした。しかしオーナーは20154月の報酬改定が気掛かりで条件があえば譲渡も検討したいとのこと。まずはご挨拶を含めて訪問してみることにしました。
 
 整体師で温厚なオーナーは、非常にオープンで決算書を取り出しながら、当社の現況を細かく説明してくれました。収益は確かに出ているものの、すでに高稼働率であるので保険収入でのアップサイドは少なそうだとの第一印象を持ちました。また、設備投資資金でオーナー本人と親会社からの借入残高は4000万程度ございました。
 
面談時点でオーナーは4月の報酬改定が5~7%程度と想定していたそうです。想定の減収率でも黒字をキープできる水準ではあるが、投下資金を回収するには10年近くの時間を要するとの見解を示されました。10年という投下資金の回収期間を設定することは、在宅介護事業とって現実的とは言い難い水準です。
 
具体的な譲渡希望額は口にしませんでしたが、譲渡代金によって投下資金の回収を図りたいとの意図を弊社は感じ取りました。
 
しかし4000万もの借入れを完全回収する譲渡価額を受け入れる事業者はほとんどいないことも過去の事例から弊社は理解していました。
 
(営業資産が転用できない業態であるデイサービスは、資産価値は車両以外に0評価されるため、買受企業にとっては3~4年での投下資金回収が可能であることが概ね投資基準となるようです。)
 

◇居宅系介護サービスの投資基準
(営業利益+減価償却費)×3~4年≧投下資金(買収資金+運転資金)

 
東京に戻った後、オーナーからのヒヤリングや追加資料も含めて、評価アップ要因を探ることになりました。
 
稼働率のアップや営業日を増やすことによる収支シミュレーション
・コスト面(支出項目)の削減策
 
本件の場合、すでに稼働率は80%後半であり売上を伸ばすには営業日を増やすしかないように思えましたが、効率的なスタッフの配置のため、各店舗のスタッフ共有化には各店舗間に距離がありました。
また、劇的に経費を減らせる項目も見つかりませんでした。
 
唯一、改善ポイントになりそうなのが、各店舗に訪問看護ステーション用のスペースが確保されていることでありました。(訪問看護とリハビリデイの併設が当初のビジネスモデルであったため。残念ながら看護師の確保がままならず、断念。)
このスペース分が活用できれば、訪問看護の売上の他、実質的な賃料負担も軽減できることになります。
 
そこで弊社は、訪問看護ステーションをこの地域に展開したい事業者を譲渡先候補と考えたのです。
 
早速、ターゲット数社にヒヤリングを開始しましたが、事務所スペースがあるだけでは妙味が薄いという反応でした。次に訪問看護事業者以外にもターゲットを広げてみましたが、看護師が確保できていないことや報酬改定が発表前であることから、どこも総じて本格検討して頂けない状況で悪戯に時が過ぎていきました。
 
そして3月の衝撃的な大幅減額改定の発表。小規模デイは約10%の減額に加え、要支援の利用者の単価は20%を超える減額となりました。要支援の利用者が多いリハビリ型デイサービスには非常に厳しい改定であったといえます。
 
本件の客層は要支援の介護度の比率は同業他社に比べて高くないものの、それでもシミュレーションをすると14%近くの売上ダウンが想定されました。赤字転落は避けようもありません。負債も多額で赤字が見込まれ、再建策も見えない会社を引き取ろうという買主はさすが見つけようがありません。八方塞がりの状態に陥りました。
 

* * * * *

3月末、オーナーから突然、廃業申請をする旨の連絡が入ります。すでに書類も一部提出しているということでした。廃業すると4000万円の借入金はほとんど回収できなくなるばかりか、店舗の原状回復費もかかります。廃業の判断は早計過ぎるのではないでしょうかと弊社の考えをオーナーにお話ししたところ、厚労省のやり方に憤りを禁じ得ない、もう役所に振り回されるのは御免だとのこと。廃業は衝動的に判断されたようでした。
 
そこで弊社は廃業届を提出するのに1週間待って頂き、早急に動きました。
赤字見込会社でも簿価の半額程度なら、いやたとえ3割程度であっても譲渡先を見つければ廃業に比べれば損失は大幅に軽減できる。簿価よりも大幅にディスカウントすれば興味を持つ企業は探せるかもしれない。弊社の直感でした。
 

廃業コスト=固定資産簿価(4000万)+原状回復工事費+工事期間の賃料=▲5000

*簿価0円で譲渡した場合でも、原状回復関連費用約1000万が節約できることになります。
 
幸運なことに1週間経たずに異業種参入組2社の買付意向表明を取得し、最初の面談に漕ぎ着けることができました。経済的条件は両社ほぼ同じでしたが、オーナーはより積極的で柔軟な対応が可能との印象を受けたX社を第1候補として交渉を進める決意を固めました。
 
買主側(X社)は折衝に当たり、下記事項を要請してきました。

<買主側の要求>

  • スタッフの散逸をできる限り避けるため、早期に主要スタッフと面談したい。
  • 統括マネージャーが残られることを強く希望。
  • スタッフの承継が十分できない場合は一部店舗を閉める可能性があり、その場合、評価を見直す可能性がある。(閉店コスト分の評価減額)
  • 利用者がどの程度、承継できるかで提示条件を見直す可能性もある。

 
これに対し、売主(オーナー)側の考え方は

<売主側の考え>

  • 譲渡の合意前にスタッフの慰留に努めるのは難しい。(解雇通知をすでに出している。)
  • 提示額について評価が適当かどうか、顧問税理士等からのアドバイスを受けて回答する。

 

(通常、スタッフに関する慰留の問題が最大の争点になること自体、珍しいのですが本件では一度廃業を決意して従業員一同に解雇通知を出してしまった経緯がありました。)

 
そこで弊社では、オーナーの不安感を払拭することを目的に、まず両社間で「基本合意書」を締結することをご提案しました。(急ぎの場合や小口案件の場合は基本合意書の締結を省くことが少なくありません。)
 
基本合意書の締結後、直ちに廃業時期を1か月先延ばしにすること、X社と承継交渉を進めていることをスタッフに伝えると同時にX社側から買収後の運営方針についての説明と個別面談を進めてスタッフの動揺を鎮めることに両社で最大限の努力を図りました。
 
経済的な条件については侃々諤々の議論が交わされましたが、買収後のスタッフや利用者の離散のリスクをすべて買主側が負うこと、つまり当初の提示条件の満額で最終契約を締結することができました。ちなみに買収価額は簿価の約3分の2といったところです。この水準を高いと感じるか、安いと感じるかは皆様のご判断に委ねたいと思います。
 
M&A仲介・支援を行う弊社にとって、「廃業も止む無し」から「合意に至った。」という事実は、売主側と買主側の両社が均衡点を見出せたという認識でおります。
 

* * * * *

さて、みなさんが興味をお持ちであろう「その後」ですが、
買受後、収益が一時的にかなり落ち込んだようです。また各店舗の空きスペースに訪問看護を立上げておりますので先行投資の感もあり、黒字化までは到達していないようです。
しかしながらX社は他事業においても長期のスパンでビジネスを考えている事業者であり、将来の収益化への道筋はしっかり描けているのではないかと弊社では考えている次第であります。


 



 これまで弊社で扱いました事例の中から幾つかご紹介致します。

実例1:「経営資源の集中」を図るためにデイサービス部門を譲渡。

 
売主は、訪問介護を主力とする介護事業者。訪問介護の営業エリアと重複しないシナジー(相乗)効果の薄いデイサービス店舗を売却して経営資源を主力部門である訪問介護に集中した。デイサービスは80%超の高稼働率店舗で安定的な収益が期待できることから、異業種からの新規参入を目論むIT事業者が取得した。


実例2:高齢によるリタイア

売主は、介護保険法施行期から地元に密着した評判の高いデイサービス事業者。競合店舗の増加による収益の悪化と高齢による体力面の低下から事業譲渡を決断した。買主は周辺地域で療養病院を経営する医療法人であった。


実例3:起業失敗

売主は、異業種からの参入者。新規開業コンサルタントの指導の下、訪問看護事業を開始して1年余り、利用者数も極めて少なくスタッフの維持にも窮する状態となっていた。かねてより同地域への出店を検討していた訪問看護事業者が取得した。


実例4:大手資本傘下入り

売主は、営業歴10年余りと地域に密着した訪問介護事業を展開してきた事業者。ヘルパースタッフの確保がネックとなり経営拡大ができずにいた。大手資本の傘下での財務基盤と知名度を活用して人材確保と拡大経営へと大きく舵を切った。買受側は大手資本の新会社となり、売主のオーナーが新会社での経営を引き続き担うことになった。



実例5:再投資(改装)断念

売主は営業歴10年超の地域に密着したデイサービス事業者。店舗の老朽化が進み、周辺の新店舗との競争が厳しくなってきた。大規模改装する費用をねん出することを断念し、新たな事業者にバトンタッチすることにした。買主は、現店舗ではなく周辺に新店舗を構えて営業を開始。スタッフと利用者、車両及び備品一式を引き継いだ。 


実例6:債務整理で再出発

売主は、2店舗のリハビリ型デイサービスを経営する事業者。少ないながらも黒字の経営を続けてきたが、債務の返済目途までは付かない。ここ数年は売り上げの減少傾向も表れており、黒字の状態での株式譲渡による債務の返済が現実的との判断に至った。買主は債務も引き受けることになる株式譲受の形を選択した理由として、名称の継承・従業員の散逸リスク回避・投下資本の最小化を挙げている。


アクセス

本社所在地

名称
アービーウェルフェア株式会社
代表者
津川 敏夫(TSUGAWA TOSHIO)
所在地 (本社)
〒140-0002
東京都品川区東品川4-12-9品川シーサイドビュータワーⅠ-2207
TEL. 03-6384-7594
FAX. 03-6369-3200
設立
2014年12月
事業内容
M&Aコンサルティング
ファクタリング・アレンジ                        
事業再生コンサルティング
関連法人
アービーキャピタル・コンサルティング株式会社(H17年11月)